歯科衛生士として働けるようになるには、どうすれば良いのでしょう。ここでは、歯科衛生士になるための条件や必要な事がらについて見ていくことにしましょう。

国家試験の受験資格

養成機関で3年間修業することが条件

高等学校を卒業後、歯科衛生士養成機関(専門学校、短期大学、大学)において、歯科衛生士として求められる知識や技術を習得し、卒業した者に国家試験(歯科衛生士国家試験)の受験資格が与えられます。

養成所の指定規則が一部改正され、現在ではすべての養成機関が3年制以上となっています。4年制大学での教育も行われており、今後4年制の養成機関が増える可能性もあります。

受験資格に関して「通信教育のみで受験資格を得られるか」という質問が多く寄せられますが、残念ながらそれは不可能です。つまり「文部科学省や厚生労働省が定める歯科衛生士養成機関で3年以上修業すること」が、歯科衛生士国家試験の受験資格を得るための条件なのです。

どんな人が向いている?

歯科衛生士は、患者さんが抱える口腔の問題を解決するお手伝いをする仕事ですから、まずは安心感を持って接してもらえるような親しみやすさ・思いやりが大切です。困っている人を助けること、相手の笑顔と「ありがとう」と言ってもらえることに喜びを感じられる人はこの仕事に向いています。

実務では細かな作業が多いので、手先の器用さと作業を継続する根気強さが要求されます。

また、これは歯科衛生士に限りませんが、仕事ではコミュニケーション能力が重要です。専門用語を知らない患者さんの曖昧(あいまい)な訴えを的確に判断して対応したり、歯科医師をはじめスタッフと確実に意思疎通できなければなりません。痛みを訴える患者さんへの気配りも大切です。

総じて、周囲に気を配りながら粘り強く作業に取り組むことができる人は、優秀な歯科衛生士になる素質があるといえるでしょう。

歯科衛生の養成機関

受験資格のところでも触れたように、歯科衛生士の国家試験を受けるには、国が定める養成機関で3年以上修業する必要があります。具体的には、歯科衛生士の専門学校が中心になりますが、大学・短大の対応する学科に進学する方法や、歯科系大学の付属校で学ぶ方法もあります。いずれも3年制の昼間部が中心ですが、夜間部を設けている学校もあります。

学校の選び方は各個人の状況にもよりますが、学費と資格試験合格に向けたサポート体制は共通して重要な判断基準となるでしょう。また、通学や卒業後の就職先の観点からは学校の地域性も大きな要素です。地元で地域密着型の運営をしている学校はこの点で非常に魅力的な存在といえます。

学校での講義と実習

学校での学習内容は、講義(座学)と実習で構成されます。はじめは講義の座学が中心ですが、学年が進むに従って、基礎的な実習から臨床中心の応用実習へと展開していくカリキュラムが一般的です。

実習は学校の実情に応じてさまざまな場所で行われます。大学の付属病院や地域の診療所のほか、ボランティアを兼ねて地元の医療施設などで実習が行われることもあります。実務経験を積む貴重な機会であり、卒業後の就職に向けた準備でもあります。覚えることが多く、課題の提出等も求められるので大変ですが、歯科衛生士になるために欠かせない重要なステップです。

こうした課程を通じて、資格試験に合格するための知識と、就職後に必要となる最低限のスキルを身に付けていくことになります。苦労して頑張った学生生活の思い出は、人生の中でかけがえのない宝物になることでしょう。

資格試験について

学校でのカリキュラムを終えた後、いよいよ国家試験に臨みます。この試験に合格できなければ歯科衛生士にはなれません。毎年3月上旬に実施されます。詳しい情報は、インターネットを通じて厚生労働省のサイトで確認できます。

試験科目は「解剖学および生理学」「口腔衛生学」「歯科予防処置」「歯科診療補助」「歯科保健指導」など複数ありますが、試験はマークシート方式のみで行われ、面接や論文、実技試験等は行われません。

例年、受験者数は6千人前後、合格率は95%と高い水準を保っており、試験自体の難易度はそれほど高くないとされています。学校でしっかり勉強して必要な知識を身につけていれば、ほぼ合格できると考えてよいでしょう。